転職のために100万円かけてwebスクールに通い、挫折した話

社会人に成り立てのころは誰でも仕事ができずに怒られてばかりでしょうが、そんな日がずっと続くと自信がなくなり、「この仕事向いてないんじゃないか」と弱気になってしまうものです。

僕も新入社員として就職してからというもの、怒られない日はないというくらい、毎日仕事でミスをしては叱られていました。そんな生活を送っていると、自然と「もっと向いている職業に転職したい」と思うようになりました。

今回は僕が社会人になって間もないころに転職をもくろんでwebスクールに通って挫折をした話をします。

 web業界への転職をもくろむ

当時僕は自分がプレイして面白かったゲームを紹介するwebサイトを運営していました。なんの知識もなく、サイト運営の本を買って手探りで勧めていたため、一日のPVは10人にも満たないありまさまでした。しかし元々文章を書くのが好きだったので、僕は少ないPVであってもサイト運営を日々楽しんでいました。

 

「これが仕事になったらいいのに」

失敗続きの社会人生活の中で、この考えに至るのは自然な流れでした。

しかし、web業界に転職するためにはやはり関連の基礎知識がある程度要求されます。経験不問の企業もたくさんありますが、そういった会社は誰でも入れる故に待遇面で問題があるのではと僕は勘繰っていました。

いくら趣味でサイト運営をしていると言っても、企業で業務を行うには到底知識が足りていない状態でした。

若さに任せてどこかに飛び込むことも考えましたが、ただでさえブラックな会社が多いと悪名高いweb業界に丸腰で挑んでも、よほどの精神的タフさがないとつぶされるだけだったと思います。

そして僕はふと「スクールに通って本格的に勉強しよう」と考えました。

スクール見学へ

思い立ったが吉日で、すぐに3社ほどのwebスクールの資料を請求しました。ほどなくして自宅に郵送されてきた資料を読みながら、僕は数日間どのスクールに通うか吟味していました。

ある日仕事を終えて自宅のアパートに戻ると、資料請求したスクールの人間(仮に佐藤さんとします)から電話がかかってきました。その方と電話でやりとりした後、スクールに見学に出向くことになりました。

そのスクールでは、パソコンの動画を観ながら授業をするスタイルを取っていました(◯進◯イスクールのようなシステムです)。ですが、パソコンルームに足を踏み入れた途端、何とも言えない不安感に襲われました。

まず最初に思ったことが、部屋がせまい……。

パソコンの数は10台ほどありますが、部屋が狭く、なんだか窮屈そうな印象を受けました。

続いて、パソコンの中古感……。

パソコンに詳しくない僕ですが、置いてあるパソコンが全て中古の型落ちのような印象を抱きました。この後実際の授業の動画を見せてもらったのですが、ネット回線のつながりが悪くて、動画が中々始まらず、始まった後も途中停止が続くという体たらく。

佐藤さんもかなり焦っていましたが、もう僕の中ではこのスクールは「ねーわ」と決まっていました。

不安を煽る戦法はスクールの常とう手段か?

一通りのスクールの見学が終わり、佐藤さんは受講プランなどの説明を始めましたが、僕は「家に帰って考えます、もし受講する場合はこちらから連絡しますので」そう言って立ち去ろうとしました。

すると、カモが逃げてしまうと思ったのか、佐藤さんはこんなことを言い出しました。

「そうですか。web業界の転職には25才限界説なんかもあるんですよね。(僕の名前)さんの年齢ですと、わりかしギリギリですので……(当時の僕の年齢は25)」

客の不安を煽る戦法に出やがりました。

今の僕なら苦笑で終わりますが、当時まだ未熟だった僕はこのセリフにさらにイラつき、そのままそっぽを向いてスクールから立ち去りました。

個人的な意見になりますが、年齢などをダシにして客の不安を煽るような発言をするスクールは選ばない方が良いと思います。実際に後述する別のスクールではそのような発言は一切なく、営業もあまりガツガツしておりませんでした。

再びスクール探しに戻る

自宅に帰った僕は、今しがた見学を終えたスクールの資料をゴミ箱に突っ込み、残りの2つのスクールの資料を比較検討しました。ちなみにこの時点で3スクールの資料請求をしてから一週間以上が経過していましたが、スクール側から電話をかけて来たのはさきほどの一社だけでした。

僕は残りの2社の内、自宅のマンションからは少し遠いものの、より規模が大きく大都会に位置しているスクールに自ら見学に行くことにしました。

 

アポ取りの電話をかけた時の担当者は話し方も淡々としており、前回のスクールの担当者のようにガツガツした印象を受けませんでした。もっと言うと商売っ気を感じないというか……。

前回のスクールの経験から、今回もまた凄まじい営業トークを浴びせられると覚悟していた僕は拍子抜けしながらも、その担当者と見学の日程を調整しました。

一方的に営業トークを受けた時はうんざりしたのに、今回のようにあっさりとした対応の担当者に当たると一抹の寂しさを感じたのだから人間というのは現金なものです。

豪華な設備に唖然

約束の日にスクールまで出向くと、まずはその設備の豪華さに驚きました。

パソコンの数は10台ほどと、前回のスクールと大差ありませんでしたが、部屋のスペースをゆったりと取ってあり、観葉植物や無料のドリンクサーバーまでありました。

さらに今回のスクールは受講部屋とは別に自習部屋があり、全てのデスクにパソコンが整備されていました。

一目で「金をかけている」ことがわかるスクールでした。

担当の方と話していると、このスクールは近々大都市に別校が建設される予定とのこと。大都市に別校を建てるのにどれほどのお金がかかるかわかりませんが、それだけ儲かっているということはスクールの信頼性の証左だと思いました。

さらに実際にお会いした担当の方も落ち着き払っていて、「何が何でも入校させてやる」という雰囲気はまったく感じられず、スクールの魅力を淡々と説明した上で「よろしければどうぞ」というスタンスでした。「上品」とでも言いましょうか。

一通り見学が終わり、僕はかなり入校する気満々だったのですが、いざ契約の話になると現実問題が立ちふさがりました。

100万円を超える受講料に絶句……

受講のプランの話になり、僕はあらかじめ準備していた「HTML, CSS, CGI, Perl, JavaScript……」等々の取得したい技術の一覧を書いた紙を渡しました。すると、それを元にすぐに見積もりを作成してくれました。

ですが、その金額を見て思わず沈黙してしまいます。

 

100万円を超えている……。

 

今考えると、受講内容を少し欲張りすぎていたかもしれません。

webデザイン関係の仕事に尽きたいのであれば、まずは最低限の知識としてHTMLとCSSだけ受講して、その技能を取得した後で別の授業を取ればよかったのです。ですが当時の僕はとにかくたくさんの技能を習得して、少しでも転職を有利にしようと考えて一度に多くの受講科目を選んでしまいました。完全に戦略ミスです。

僕は悩んだ末、半年間の分割払いで契約することに決めました。当時の僕の貯金は全額でほぼ100万円だったので、何等かの事情で会社を突然クビになったとしても、受講料の支払いのために借金をする必要はなかったのです(実家に帰って養ってもらうこと前提のクズ理論)。

かくして受講するスクールが決まり、僕はweb業界への転職に向けて本格的に勉強を始めました。

3ヶ月で行かなくなる……

はい、いきなり悲しい結論から書いてしまいますが、結果的に僕はこのスクールに3ヶ月で行かなくなります。理由は、面倒臭くなってしまったからです。完全に自分の怠け心と根性のなさが原因です。

あえて言い訳させてもらうなら、以下3点の致命的な要因がありました。

  • スクールの所在地が僕の住んでいるアパートから片道1時間以上かかるため、土日祝しか受講できなかった
  • 土日祝も、4時間しか授業を受講していなかった
  • 家で一切の予習復習をしなかった

学校の所在地が自宅から遠いことは契約を決める前から分かっていたので、土日祝日しか受講ができないことは想定済みでした。なので土日祝の間に思いっきり勉強しようと思っていました。しかし、いざスクールで勉強し始めると実感したのですが、パソコンの画面で何時間も勉強するのって、かなりの体力を消耗します。4時間の受講でもへとへとに疲れてしまうのです。

特に僕のように受験生時代にロクに勉強していなかった人間にはいわゆる「勉強体力」が皆無なので、そのことも大きな原因でした。

今学生の人は、いつか自分が夢中になれるものができた時、その分野の勉強を思いっきり頑張れるように、まずは学校の勉強を頑張って「勉強体力」をつけよう!

そして、会社から帰ってきて疲れ切ってるからと言い訳して、僕は平日家での予習復習もやりませんでした。この体たらくでは技術が向上する訳がありません。

結論として、僕のスクールに通ってweb業界に転職しようというもくろみは失敗に終わりました。

受講料の支払いだけが残った……

当然のことですがスクールに行かなくなったからと言って、受講料を支払わなくて良いわけではありません。僕も食費や交遊費を切り詰めて、きっちり払いました。

何も得ていないのに、口座から毎月20万円近くの現金が引き落とされるやるせなさと言ったら……(僕が悪いのですが泣)。分割の支払期間が終わるまでの間、会社でタダ働きしていたような気分でした(僕が悪いのですが泣泣 僕が悪いのですが泣泣泣)。

やはり受講プランは少なめに開始していれば、まだ傷は浅くて済んだ……。

今回のことから学んだ教訓

  • まずは書店で関連テキストを購入し、独学でその一冊分の勉強を終える
  • スクールを選ぶ際は、自宅からの距離も重要視する

※ハッキリ言って学んだことが多すぎるので、別記事にまとめました。

www.suteneko3000.com

念のため書いておきますが、今回の記事はスクールに通うことを否定するものではありません。やる気と情熱があれば、スクールに通うことで効率的かつ素早く知識を吸収することができ、それは後のあなたの人生を切り開いてくれる大切な財産となるでしょう。

こういったスクールでは関連業界への就職斡旋をしていることも多く、一般には出ていない求人に応募できるなど、大いに活用できます。

ですが、スクールに通ってそういった恩恵を受けるためにはとにもかくにもお金が必要です。働いている方は分かりきっていることだと思いますが、お金を稼ぐことはすごく大変です。ここで言う「お金を稼ぐ」の定義は、学生がアルバイトをするということではなく、「生活費を全て自分で賄った上で貯金をする」ということです。

そんな大変な想いをして稼いだお金はなるべく有効に利用してほしいと思います。

大分説教臭い内容になってしまいましたが、参考になれば幸いです。