Summer Pocketsをネタバレなしでレビュー!

Summer Pockets 通常版

今回はkeyから発売されているノベルゲーム「Summer Pockets」の魅力について紹介します。

購入を迷っている方は是非とも判断材料として利用してください。

作品の感動や驚きを損なうようなネタバレは書いていないので、プレイ前に内容を知りたくないという方も安心です。

あと、良いところばかり紹介するのはフェアではないので、「ここが足らなかった」という点もキチンと書いていきます。

ちなみに僕は大学生活の余暇をほぼ全てつぎ込んで、50本以上のノベルゲームをプレイしてきました。ノベルゲーム界隈で「名作」と呼ばれる作品はほぼプレイ済みなので、作品に対する要求レベルは相当に高いと思います。

玄人ぶるのもうざいと思いますので、さっそく行きましょう。

Summer Pocketsとは

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本題に入る前にこのゲームの情報について少しだけ触れておきます。

  • 作品情報
  • ストーリー

作品情報

Summer Pocketsビジュアルアーツという会社のゲームブランド「Key」より2018年6月29日に発売された恋愛アドベンチャーゲームです。

Keyと言えば、ノベルゲームにそれほど詳しくない方も一度は聞いたことがあるであろう、以下の名作を世に送り出したブランドです。

中でもCLANNADは特に高い評価を受けており、人間の生涯において節目となる出来事をドラマティックに描いた内容から

クラナドは人生」

と言わしめるほどのユーザー人気を獲得しています。

今回紹介するSummer Pocketsは、そんなKeyの最新作となるノベルゲームです。

ちなみに上で書いた名作のメインシナリオを執筆した麻枝 准は、原案と音楽という形で本作に関わっており、シナリオの執筆は行っていません。

ストーリー

主人公、鷹原 羽依里(たかはら はいり)は、亡くなった祖母の遺品整理を手伝うため、夏休みを利用して鳥白島にやってきた。

その島で、彼は同年代の少年少女たちと出会い、共に過ごす中で交流を深めていく。

夏休みの終わりには地元に帰ることが決まっているが、仲間と絆が深まるにつれて段々と帰るのが惜しくなっていく……。

こんな人にオススメ

Summer Pocketsは、ズバリ以下のようなノベルゲームを求めている人に最適です。

  • 切なく、泣ける物語が読みたい。
  • グラフィックや音楽など演出面のクオリティも重視する。
  • サブキャラもしっかり作られている。

こういう人であれば、Summer Pocketsを大いに楽しめるんじゃないかと思います。

詳しく解説します。

切なさ満載

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Keyは元々「泣きゲー」分野の第一人者とされるゲームブランドです。

その最新作だけあって、非常に手練れた手腕で涙腺を緩ませてきます。

実際に僕もSummer Pocketsをプレイしていて、涙した場面がいくつもありました。

本作は「出会いと別れ」という、感動ものとしては非常にオーソドックスな要素を真正面からぶつけてきます。

よく言えば「王道」、悪く言えば「古典的」と言えるでしょう。

ですがそこは古参ブランドの実力を如何なく発揮し、よく練ねられたストーリーに織り交ぜるように、業界最高峰レベルの演出(グラフィック、音楽)を重ねてきます。

この破壊力は凄まじく、場面が一気に盛り上がるシーンでは否が応でも感情が揺さぶられて泣かされてしまいます。

業界最高峰レベルの演出

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上でも書きましたが、Summer Pocketsの演出面のレベルの高さは「業界最高峰」と言ってよいかと思います。

演出とは具体的には

  • グラフィック(キャラクターや背景の絵)
  • 音楽(主題歌、BGM、効果音など)
  • 声優の演技

といった要素を指します。

ノベルゲームは

  • 文章
  • 音楽
  • 映像

といった、他の表現媒体に類を見ない、多彩な演出要素が含まれています。

例えば小説には「音楽」や「映像」はありませんし、映画には「文章」がありません。

Summer Pocketsは、ノベルゲームの特徴である演出の多彩さを余すことなく生かし切った作品なのです。

中でも「音楽」の質の高さは僕が協調しておきたいところです。

Summer Pocketsの音楽ギャラリーに登録されている曲数は、主題歌、挿入歌などを含めて45曲あります。この多さは数あるノベルゲームの中でもトップクラスです。

数があれば良いというものでもありませんが、最近は音楽面に力を入れてきている麻枝氏が作曲した3曲を始めとして、「日常場面の曲」「感動場面の曲」「ギャグ場面の曲」など、シーンに応じて作成された曲のどれにも手抜きは感じません。

エンターテイメント作品において人々に感動を与える根幹をなす要素とは、「ストーリー」に他ならないと僕は思っていますが、ここに質の高い演出が重なることによって、その感動は何倍にも膨れ上がります。

演出面の質の高さは、間違いなくSummer Pocketsを平凡なノベルゲームとは一線を画す作品たらしめている要因の一つです。

サブキャラにも人格がある

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魅力的なキャラクターが登場することは、ノベルゲームを楽しむ上で非常に重要です。

Summer Pocketsに登場するヒロインは全員で4人いますが、それぞれ際立った個性があり、好みの差はあってもどの子も非常に魅力的です。

ただ、ヒロインが魅力的というのはある意味当たり前のことです。

僕はSummer Pocketsを、平凡なノベルゲームとは一線を画す作品であると書きました。このレベルの作品においてヒロインが魅力的であることは「必要条件」ではあっても、「十分条件」にはなり得ません。

キャラクター面においては、サブキャラクターにもしっかりとした人格があることが重要です。サブキャラクターの一人にまでしっかりと命を吹き込むことで、作品にリアリティを与え、プレイヤーの没入感を深めます。

Summer Pocketsには主人公の男友達が2人登場しますが、それぞれ非常に存在感があり、いわゆる「使い捨て」のキャラクターではありません。

その内の一人である「良一(りょういち)」は、いつでもどこでも全裸になりたがるという趣味があります。これがギャグシーンで幾度となく生かされるのですが、本作では彼がなぜ全裸になりたがるようになったのかという理由までがしっかりと描かれるのです。

もしこれが描かれなければ、良一はただのギャグ要員の露出狂キャラに成り下がったことでしょう。「〇〇要員」とされた時点でその人物は物語の都合で作られた存在となります。

このように、本作ではサブキャラの一人に至るまで製作者の愛が感じられ、作品全体のリアリティを深めています。

足らない点

さて、ここまでSummer Pocketsの魅力について紹介してきましたが、ここからは今一歩足らなかった点を書いていこうと思います。

本作は全体として非常にレベルが高いので、ある種重箱の隅をつつくような指摘になると思います。

ですが、ノベルゲームを50本以上プレイしてきた情熱を持つ僕だからこそ、あえて書かせていただきます。

「ストーリー」があと一歩

本作は全体的にレベルが高いと書きましたが、シビアな目で見ると「ストーリー」だけが、他の要素と比べて少し見劣りします。

もちろん、一般的なノベルゲームとは比較にならないほど高いクオリティなのですが、「グラフィック」や「音楽」のレベルが高すぎるが故に、相対的に「ストーリー」のレベルが一段階低く見えます。

いわゆる「感動シーン」においても、確かに僕は泣きました。

泣きましたが……「涙腺崩壊」まで行かなかったのです。

盛り上がっているその場面の素晴らしい音楽とグラフィックに心震わされる中で、僕は頭のどこか本能的な部分で「あと一歩ストーリーの積み上げがほしかった」と思ってしまいました。

ものすごく意地の悪い言い方をすれば

「ストーリーの足らない部分を、演出の助けを借りて泣くことができた」とでも言いましょうか。

さすがにこれは言い過ぎました。

ですが、数多の名作ノベルゲームをプレイしてきて目が肥えている人であれば、少なからず僕と近い感想を抱く人がいると思います。

作られ過ぎたキャラクターがいる

本作のヒロインの一人に、あまりにも「キャラ付けされ過ぎた」子がいます。

具体的に言うと、「うみゅ~」とか「むぎゅ~」といった口癖を持つヒロインがいるのです。

もしこんな子が現実にいたら、確実に「ぶりっ子キッモ」といじめられていたことでしょう。

もちろんSummer Pocketsは架空の物語であり、ヒロインも架空の人物です。

そして、このような「変な口癖」は実はKey作品の定番パターンでもあります。

ですが、この口癖を臆面もなく繰り返すので、時々冷めて物語の世界から現実世界に戻ってきてしまいます。

これは好みの問題かもしれません。

変わった口癖でキャラ付けする手法はノベルゲームに限らず、漫画やアニメなどあらゆる媒体で散見されます。

それはつまりこれが気にならない人もたくさんいるということだと思います。

ほんの些細な事かもしれませんが、冒頭で書いたようにここの指摘は「重箱の隅をつついて」いるのであしからず。

まとめ

結論として僕はこの作品をプレイしてよかったと思っています。

毎日の学校や仕事で疲れているあなたに、本作の島ののどかな雰囲気や個性豊かなキャラクターたちが、ひとしずくの癒しを与えてくれることでしょう。

ちなみに僕が本作の全ルートをクリアするのにかかった時間は、およそ3週間です。1日約1~2時間プレイしたので、時間にして30~40時間だと思います。

社会時の方でも無理なくクリアできるボリュームだと思います。

Summer Pocketsは元々パソコン用のゲームとして発売されましたが、現在ではニンテンドースイッチ版が発売されています。僕はスイッチ版をプレイしました。

スイッチ版であれば、家にいる時は大画面でプレイし、外出先では携帯モードで続きが遊べます。

これからプレイしようと思っている人で、スイッチ本体を持っている人であれば、断然スイッチ版をお勧めします。

以上です。

 

PC版

Summer Pockets 通常版

Summer Pockets 通常版

 

スイッチ版

Summer Pockets - Switch

Summer Pockets - Switch

 

その他、ニンテンドースイッチで遊べるノベルゲームを以下の記事でまとめています。

参考までにどうぞ!

www.suteneko3000.com